今回は新年早々でネガティブなお話で申し訳ないのですが、プラスチック材料供給についての現状をお話しさせていただきます。
昨年は継続してコロナ問題があり、その上にロシアのウクライナ侵攻・円安・燃料費の高騰・様々な日用品の値上ラッシュ、その他にも色々ありましたね。
弊社で直接関係するところでは、①材料費の高騰と②材料不足です。
①材料費の高騰について
昨年は材料の種類によっては1年間で3~4回値上げ通知が来ました。中には元値の倍以上の単価になった材料もあり、なんと弊社で取り扱っている材料は全て値上がりしてしまいました。この業界に30年以上いますがこんな事は今まで経験したことがありません。
素材メーカーさんや商社さんが来ると前向きな話しは全くなく値上げの話ばかりで、特に商社の営業さんは値上げの見積書を作成するのが今の仕事だとよく言っていました。今年はそんな事がないように前向きな話をしたいものです。その素材価格の高騰もなんとか自社で吸収しようと昨秋頃までは頑張ってはいたんですが、それも難しくなり昨年12月に弊社商品も価格改定をさせて頂きました。誠に申し訳ございません。
余談ですが、金属であれば価格が上昇しても下がることもあり、謂わば変動相場のようですがプラスチック材料の悲しいところは一度価格が上がると二度と以前の価格に戻ることがないという事です。以前メーカーさんが値上げの理由として、プラスチックの原料となる石油を精製してできるナフサの高騰を挙げて値上げ通達されていたんですが、石油が元の値段に収まっても何故か元の価格になる事がありませんでした。よくメーカーの営業さんに問いただしたりしましたが、いつも笑ってごまかされました。(今後はどうなるか不明ですが)
②材料不足について
材料費の高騰だけであれば、弊社内の努力やお客様へのお願いで(申し訳ないのですが)なんとか商品はつくれますが、材料がないと商品がつくれません。我々ではどうしようもなく非常に困った問題です。
プラスチック材料と言っても大きく分けて2種類あります。
a.量産品を作る為の原料(射出成形用の原料等)
成形が終わるとほぼ最終形になっている物。例えば¥100均で売られてるような物
b.切削加工用の素材を作る為の原料(押出し成形用の原料等)
それだけでは商品にならずに、その材料から削っていき商品に仕上げていくための材料
弊社は主にb.の押出し成形のメーカーさんが成形された素材(例えばφ50X1000L等)を購入して、切削加工機でベアリング等を製作しています。
現状として射出成形用の原料より押出し成形用の原料の方が不足しているようです。理由としては、例えばポリプロピレンの原料の基本は射出用・押出し用も一緒ですが、そこからどちらの原料にするか振り分けて製造されていきます。世の中、圧倒的に量産品用の原料の方が需要が多いのでどうしてもそちらが優先されてしまうようで、弊社が使用する押出し成形用の原料が乏しくなり供給が追いつかないのが要因の一つのようです。
しかし材料不足は原料の問題だけではなく材料メーカーさんが生産能力をはるかに超えた受注量を抱えている等、様々な要因があるようです。
弊社では不足しそうな材料はいつもより多めに手配し在庫するのですが、それにも限界があり早めに次の発注を入れても「鹿島化学さんに納入できる順番は1020番目ですね」と言われる始末で、眩暈しそうになる事がしばしば・・・
下記は弊社で把握している入手困難な素材の一部です。
PCTFE(三フッ化) | 今や幻の材料と言われています(メーカーは受注ストップ) |
PTFE(四フッ化) | ほとんどのサイズ入手困難で納期も未定 |
POM | 汎用性が高いので受注が集中して長期欠品商品 |
ポリイミド(高温耐熱樹脂) | 元から非常に高価な材料だがアメリカのメーカーで注残を持っており、またそのメーカーから各国への割り当てがあるようで日本に入ってきても国内での順番がなかなかまわってこない。 |
その他 | PPS、PVDF、キャストナイロン(MCナイロン)、ナイロン(ポリアミドイミド)系等多岐に亘っています。 |
以上、新年早々長々と言い訳みたいになってしまいましたが、可能な限り皆様にご迷惑が掛からないようにとは考えております。
納期についてはご注文の際に都度ご確認して戴ければ幸いです。