今回のテーマは 「プラスチック軸受の充填材の役割」です。
今日(こんにち)、プラスチックは色々な用途に使われています。
生活用品から機構、機械部品、はたまた医療関係から宇宙船にまで
様々な活用がされています。
そのプラスチック材料は単体で使う以外に、何かを加えて使う場合があります。
その加えるものには、下記のようなものがあります。
・安定剤
・可塑剤
・充填材
これらを加えるのは、性質を改良するためだけでなく、
低価格を目的とする場合もあります。
安定剤:熱変形や紫外線劣化の防止などの目的で加える
可塑剤:柔軟性を持たせることによって、
温度特性や物理的性質を改良する為に用いる
今回のテーマの「充填材」も、そのプラスチックの用途によって
色々な目的で配合されます。
例えば着色目的だったり価格を抑えるためであったり。
しかしながら、弊社は「摺動部材販売」つまり軸受屋でございますので、
軸受の充填材の役割についてご説明いたします。
軸受の充填材(英訳:Fillerフィラー)には色々な種類があります。
以下に例をあげます。
・カーボン(粉末や繊維)
・グラファイト
・ガラス (ビーズや繊維)
・二硫化モリブデン
・マイカ
・酸化鉄
・銅
・セラミック
・木
・他材質プラスチック
等々
では充填材を入れる目的は何でしょう?、
圧倒的に多いのが、
・耐熱性能向上
・強度アップ
次に
・耐摩耗性能
・寸法安定性
などがあります。
耐熱性と強度アップの為の充填材にはガラスがよく使われ、
カーボンやグラファイトは耐摩耗性能の向上を図るために用いられます。
潤滑性、つまりすべりやすくするためには、二硫化モリブデンなどが使われます。
二硫化モリブデンの結晶構造が平面の摩擦に対して
すべりやすい構造になっているからです。
他に銅などは、その熱伝導の良さを利用して放熱による耐摩耗性能の向上を
はかってPTFEなどに充填される場合もあります。
基本的にプラスチック軸受の弱点は、熱と圧です。
摺動する事による熱の発生を防ぐために、
すべりやすくする充填材を入れ摩擦係数を下げます。
そうすると熱による劣化が防げ、摩耗が低くなり熱の発生を抑えます。
そのためにカーボンやガラス、二硫化モリブデンが使われるのです。
一方、「圧」つまり重いものに対する耐性、強度アップを図るために入れる
充填材は、そのプラスチック自体の柔らかさ、脆さを補強します。
例えばフェノールという樹脂は、
それ自体飴のように非常に脆い性質を持っているので、
木片や綿頒布などで脆さを補い大きな圧力に耐えうる樹脂に仕上げます。
では最後に、
充填材は沢山入れれば入れるほど性能が上がるのでしょうか?
答えは、「ノー」です。
樹脂はその樹脂自身の結合で形をなしているので、
その結合が出来ないぐらいの量の充填材を入れてしまうと、
そもそも形をなさなくなります。
充填材を多く入れた為に、逆に脆くなったという事も起こりうるのです。
PTFEの充填材を例にとると、15%充填と25%充填を比較した場合
25%充填した方が硬さが増し、へこむ割合が低くなる一方
引張り強さが低減するので負荷に対する粘りがなくなる場合があります。
適正な量はプラスチック材料や用途によって様々です。
鹿島化学金属は、
適正な充填材が、
適正な量入った、
適正なプラスチック軸受を
提供出来る会社です。
いつでもご相談ください。