耐候性とは何でしょう?
漢字から想像するとなんとなく天気に関係ありそうな言葉ですね。
今回はこの耐候性とプラスチックに関してお話し致します。
屋外でもあちこちでプラスチックを見かけますが、たまにボロボロになったやつを見たことありませんか?
身近なものだと、家の雨どいや配管、他にも自動車のバンパーやダッシュボード等々。
色があせてたり、グニャグニャになってたり、ひどいものだとパリパリに割れてしまってたりと...。
いずれも年代もの(古いもの)に多く見られると思いますが、なぜボロボロになるのでしょう?
それは今回のテーマ“耐候性”に深く関係がありそうです。
耐候性とは、樹脂を屋外で使用した場合に天気の変化にどれだけ耐えられるか?(どれだけ強いか?)を表したものです。
天気の変化といっても色々ありますが、いったい何がプラスチックを劣化させているのでしょう?
劣化の症状と原因を挙げていきます。
●劣化の症状
・変色
・変形
・割れ
・硬化
等々。
●劣化の原因
・太陽光からの紫外線
・酸化
・熱
・水(雨水)
他にも大気中のオゾンなど原因は色々とありますが、中でも紫外線による影響が一番大きいようです。
樹脂というのは一般的には耐候性が良いものでは有りません。
幾つか具体例を挙げていきましょう。
まず耐候性が良い材質の代表格といえば、皆さんご存知のテフロンでしょうか。
これは紫外線による劣化が全くといって良いほど起こらない非常に優秀な素材です。
なんとあの東京ドームの屋根にも使用されているんですよ。
テフロンほどでは有りませんが、他にもアクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)なども紫外線劣化を起こしにくい優秀な素材です。
また、耐候性が求められるパーツである工業用の配管・雨どい・汚水タンク等々…、
これらの材質にはポリ塩化ビニル(PVC 通称:塩ビ)が使われていますが、こちらはどうでしょうか?
塩ビも比較的耐候性の良いと言われている素材です。
ただし永遠にメンテナンス不要という訳ではありません。
耐候性が比較的良いというだけであり、何年も屋外で使用しているうちに紫外線を浴び、風雨にさらされていると徐々に劣化は進み、遅かれ早かれ最後はボロボロになってしまうんです。
最後にもう一つだけ例を挙げます。
洗濯物を干す時に使われる洗濯バサミ。
もろに太陽光(紫外線)を浴びるし、時には雨にうたれることもありますが、これにもやはりプラスチックは使われています。
買った時は鮮やかなピンクや黄色だったはずなのにずっと使っているうちにだんだん白っぽくなってきたりして...
あれ?って思っているうちに開こうとしたら
パキッと割れたり。
これもやはり太陽光(紫外線)の仕業ですね。
もちろんステンレス製のものや木製のものでオシャレなものが有りますが、その殆どがプラスチックのPP製の様です。
ところが実はPPという材質は元々そんなに耐候性の良い素材では有りません。
なぜ耐候性の決して良くないPP製が圧倒的に多いのでしょうか?
一番大きな理由は、やはり製造コストがあげられます。。
紫外線に強いPC(ポリカーボネート)製も探せば有りますが高級品なんです。
PPはとにかく安い!!
消費者からすると、悩みますよね?
長持ちはしないけど安価なPP製のものを買うのか、、、
それとも高価だけど、長く使えるPP以外のものを買うか、、、
みなさんはどちらのタイプでしょうか?
うーん…自分は貧乏性なので残念ながらPP製を買っちゃいますね(笑)
最近ではプラスチックの世界でも色々と研究が進んでおり、素材の自然色で使用するよりも、カーボンブラックで着色した方が紫外線劣化を抑えることが出来るなんていうデータも出ていますし、他にも酸化防止剤や紫外線吸収剤を入れることによって、劣化を防止するという技術も進んでいます。
私と同じように樹脂もデリケートな様です(笑)
…と、少し話はそれましたが耐候性について分かっていただけましたか?
ちなみに弊社のプラスチック軸受は特殊環境下で使われるため耐候性を求められることもあります。
紫外線を利用して水を浄化するような設備に使われることもあれば、太陽光発電の装置で太陽を追尾するシステムにもご使用いただいております。
めずらしいものだと、遺跡の発掘現場などでも使われることがあるんですよ。