搬送用キャリーに採用していただいた、フッ酸環境対応ベアリングの事例をご紹介します。
本案件は、フッ酸(フッ化水素酸)を使用する薬液環境下で使用する搬送機械の軸受選定でした。
フッ酸は多くの金属を腐食させる非常に強い薬品であり、一般的な金属製ベアリングでは腐食や耐久性に問題が発生する可能性があります。
そのため、耐薬品性を重視した樹脂ベアリングの採用が前提条件となりました。
フッ酸に強いベアリング材質の選定
フッ酸環境で使用可能な材料として、
- PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)
- PPS(ポリフェニレンサルファイド)
- PP(ポリプロピレン)
- 硬質PVC(硬質塩ビ)
などが挙げられます。
薬液環境用ベアリングでは、薬品の種類・濃度・温度条件などに応じた適切な材質選定が重要です。
フッ酸などを頻繁に使用する半導体関連装置では、耐薬品性を最優先とし、PCTFEを採用することが一般的です。
しかし、コストや加工性とのバランスも重要な検討要素となります。
本案件では、耐フッ酸性とコストバランスを考慮し、部品ごとに材料を使い分けるご提案をしました。
具体的には、強度が求められるネジ部にはPPSを採用し、負荷のかかりにくい外輪および保持器にはPPを採用しています。
すべてを高耐薬品グレードの材料で構成するのではなく、必要な箇所に適切な材料を選定することで、耐薬品性能と経済性の両立を実現しました。
ボール材質の選定について
薬液環境下ではボール材質の選定も重要です。
セラミックボールを使用する場合、一般的なアルミナやジルコニアはフッ酸に対して耐性がありません。
そのため、フッ酸環境に対応するセラミック材質としては、【炭化珪素(SiC)】の使用が基本となります。
使用環境に応じて、樹脂部材だけでなく転動体材質まで含めた総合的な設計が必要になります。
樹脂製ネジ付きベアリングによる構造提案
今回は、ネジ一体型および軸一体型の樹脂製ネジ付きベアリングをご提案しました。
本構造による主な効果
-
- フッ酸による腐食リスクの低減
- 無潤滑での安定使用
- 取付作業の簡素化
既製の金属軸受では対応が難しいフッ酸環境対応ベアリングも、用途に応じて設計・製作が可能です。
フッ酸・薬液環境用ベアリングのご相談
フッ酸をはじめとする強酸環境では、材質選定を誤ると短期間で劣化や腐食が発生します。
当社では、耐薬品樹脂ベアリングやネジ付きベアリング等のオーダーメイド品の設計・製作に対応しております。
フッ酸対応ベアリング、耐薬品ベアリングをご検討の際は、ぜひご相談ください。
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