
概要説明
めっき加工工程では、酸・アルカリなどの強い薬液や高温・低温環境、水分を多く含む雰囲気など、機械部品にとって非常に過酷な条件が常に存在します。
そのような環境下において、安定したライン稼働とメンテナンスによる作業手間の低減を実現する部品として、樹脂ベアリングが多く採用されています。
樹脂ベアリングは、めっき加工ライン内のさまざまな装置で使用されています。
めっき槽前後の搬送ライン用ローラーの軸受、めっき液を均一に攪拌するための撹拌装置の回転部、ベアリング外輪に溝加工を施し、線材・ワイヤー搬送用ガイドローラーなどです。
これらの工程では、薬液や洗浄水による影響を受けやすく、金属製ベアリングでは腐食や固着、回転不良が発生しやすいという課題があります。
樹脂ベアリングはそのような問題を解決し、長期間にわたり安定した回転性能を維持します。
使用例
・フープ材(コイル材)搬送用樹脂ベアリング
・フィルムシートの搬送ローラー用調心樹脂ベアリング(二層構造)
・メッキ用装置の樹脂ベアリング一体型ガイドローラー
・リン酸に強い樹脂ベアリング
・フルボールタイプ(リテーナーなし)樹脂ボールベアリング
・メッキ用装置の溝付樹脂ベアリング
特徴
- 高い耐水性で洗浄水や湿潤環境でも安定稼働
めっき加工ラインでは、薬液処理後に大量の洗浄水が使用されるため、ベアリングは常に水分にさらされる環境で使用されます。金属製ベアリングでは、水分によって錆や腐食が発生し、回転不良や設備停止の原因となることがあります。
樹脂ベアリングは優れた耐水性を備えており、水分の影響を受けにくく、湿潤環境でも安定した回転性能を維持します。めっき槽周辺や搬送ラインなど、水洗工程を含む設備でも安心して使用でき、設備の信頼性向上に貢献します。
- 優れた耐薬品性で酸・アルカリ環境にも対応
めっき工程では、酸性・アルカリ性の薬液や各種処理液が使用されるため、部品には高い耐薬品性が求められます。
樹脂ベアリングは耐薬品性に優れた高機能樹脂を採用しているため、薬液による腐食や劣化を抑制し、長期間にわたって安定した性能を維持できます。部品交換頻度の低減や設備停止リスクの抑制につながり、生産ラインの安定稼働を支えます。
- 無潤滑運転でめっき品質を維持
ベアリングとは、回転する軸を支える軸受部品です。一般的な金属ベアリングでは潤滑のためにグリスを使用しますが、めっき加工ラインでは潤滑剤がめっき液や製品へ付着すると、品質不良や工程トラブルの原因となる可能性があります。
樹脂ベアリングは自己潤滑性を持つ材料を採用しているため、グリスなどの潤滑剤を使用せずに運転できます。これにより、油分による汚染リスクを低減し、めっき液の品質維持や製品品質の向上に貢献します。
- 高温・低温のめっき条件下でも安定した性能を発揮
めっき工程では、処理内容によって高温槽や低温槽が使用されることがあり、ベアリングには幅広い温度環境への対応が求められます。
用途に応じた樹脂材料を選定することで、高温・低温環境でも安定した回転性能を維持できます。また、温度変化による性能低下を抑えられるため、搬送装置や撹拌装置などの連続運転にも適しています。
- 部品交換の手間を減らし、メンテナンス負担を軽減
薬液や水分の影響を受けやすい金属ベアリングでは、腐食による交換や給油などの保守作業が定期的に必要となります。
樹脂ベアリングは腐食しにくく、無給油で使用できるため、定期的なメンテナンス作業を大幅に削減できます。交換頻度も低減できることから、設備停止時間の短縮や保全工数の削減につながり、ランニングコストの低減にも貢献します。
樹脂ベアリングがめっき加工ラインに適している理由
めっき加工ラインでは、酸やアルカリなどの薬液を使用する処理工程をはじめ、水洗工程や乾燥工程などが連続して行われます。設備内部は薬液や洗浄水、高温・低温環境に常にさらされるため、使用される部品には高い耐環境性能が求められます。
特に、めっき槽前後の搬送ローラー、撹拌装置の回転部、線材やワイヤー搬送用ガイドローラーなどに使用されるベアリングは、設備の安定稼働を支える重要な部品です。しかし、一般的な金属ベアリングでは、薬液による腐食や錆、回転不良、潤滑剤の流出などが原因となり、設備停止やメンテナンスの増加につながることがあります。
樹脂ベアリングは、優れた耐薬品性・耐水性と無給油性能を備えているため、めっき加工ラインの安定稼働と保全コストの削減に貢献します。


