今回はPFAS等、世間で色々騒がれている有害な化学物質が商品に含有しないよう定めた規制法と、chemSHERPAを超簡単にさわりの部分だけ説明します。
有害な化学物質が商品に含有しないよう定めた規制法
最初に、どんな法規制があるか下記に列挙します。
RoHS10(EU)・REACH(EU)・TSCA(米国)・POPs(国際)・化審法(日本)・紛争鉱物(EU・米国に準拠)その他食品衛生法(日本)・FDA(米国)等々があります。
上記はあくまでも主だった規制を抜粋したもので、他にも業界や国によって様々な規制がありますが、ここでは主な6種類を簡単に説明させていただきます。(対象化学物質等の詳細は、それぞれの規制法のホームページをご参照ください。)
1.RoHS10指令(EU)
以前はRoHS指令と言って、対象化学物質は6物質だけが規制の対象だったのですが、2019年より4物質追加され合計10物質が対象となり、RoHS10又はRoHS2と呼ばれております。
RoHS10は電気・電子機器に使用される部品に対しての法律です。
2.REACH規則(REACH SVHC)(EU)
REACH規則は「EUにおける化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限に係る制度」と定義されており、REACHに掲載されている物質だからと言って、使用してはダメだという事ではなく、報告する事によってEU内でどれだけ化学物質が流通しているかを把握するのが現状では目的の様です。
REACH SVHCについて
REACHの中にREACH SVHCというものがあります。含有していると、人体や環境に影響を及ぼす危険性があるような物質が規制されており、対象物質がREACH SVHC(高懸念物質)に登録されています。
但しそのリストは現在使用を禁止されていないが、将来的に禁止されるだろう物質も含まれており、それらの化学物質は毎年増えていきますので、一年に数回程度更新されていきます。
2024年6月現在では「第31次REACH規則 SVHC候補」となっており242物質が対象になっています。我々もお客様から要求されるのは、REACH SVHCの非該当証明書の方が多いですね。
3.TSCA(米国)
これはアメリカの規制法で、有害な化学物質の製造・輸入を禁止する法律で、類似する規制法はEUのREACHや日本の化審法があります。
その中でも弊社のように原料を製造・販売するのではなく、成形品(俗にいう形になっている物)を製造している企業にとっては、特にPBT5物質が含有されているかどうかの判定が必要になります。
4.POPs(国際)
POPsは「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」と言われるもので、現在約185か国が批准している国際条約となっており、それぞれの国の法律で規制されています。勿論、日本も2002年に批准しており化審法で規制されています。
内容は難分解性、生体蓄積性、長距離移動性といった性質を持つ有害な有機化合物が対象となります。この中には最近話題になっているPFASのうち「PFOS」「PFOA」「PFHxS」という3物質も規制されるようになりました。PFOS、PFOA、PFHxSは難分解性・生体蓄積性が問題になっていますよね。(PFASと言っても1万種類以上の物質があり全てが規制されているわけではありません。)
5.化審法(日本)
日本の規制法で「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)となっており、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律です。
POPsでも述べたように、日本が批准した国際法はこの化審法によって規制されています。SDS(安全データシート、金属で言うミルシートのようなもの)にも記載されています。
6.紛争鉱物(米国・EUに準拠)
紛争鉱物とは、紛争地域で採掘され武装勢力の資金源となっている鉱物資源のことでアメリカやEU等は、その地域から該当する鉱物の輸入を禁止しています。また、武装勢力の資金源になるだけでなく、劣悪な環境での児童労働(大人も含む)や、人権侵害も大きな社会問題となっております。
紛争地域としては中央アフリカのコンゴ民主共和国やその周辺地域を指し、禁止鉱物は「金・スズ・タンタル・タングステン」が指定されています。
日本には規制法はありませんが、紛争鉱物の不使用証明書を要求されることがあるので、自主的に日本国内の企業も対応しているのが実情です。
chemSHERPAと法規制の関係
chemSHERPAとは経済産業省が主導して制作された、製品に含まれる化学物質の情報を伝達するスキームです。chemSHERPAにはCIとAIの2種類があり、「化学品」やそれらが混ざった「混合物」を対象としたフォーマットのCIと、「成形品」を対象としたフォーマットのAIがあります。
弊社は成形品の分類のAIを使用しています。
chemSHERPAのメリットは、製品に含まれる化学物質を入力していくと、今回紹介した1~5までの法規制に対して、適合しているかどうかの判断が一度にできることです。
(上記以外の法規制にも対応しています。紛争鉱物には対応していませんが・・・)
chemSHERPAがあれば主だった規制に関して網羅していますので、1つの商品に対していくつもの証明書を川上企業から取得する必要はありません。企業にとってはchemSHERPAを提出する事によって、顧客から要求される様々な証明書を一括で提出する事ができ、非常に便利に利用されています。
但し注意点は日本では多数使用されていますが、国際規格のフォーマットではないので必ずしも海外で通用するかと言えばそうでもないのに加え、年々禁止物質が増える為、chemSHERPAのフォーマットも逐次更新されるので、旧版では使用できなくなる等の注意が必要です。
最後になりましたが、弊社もchemSHERPAや各種証明書は提出可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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