弊社で製造しているプラスチックベアリングは、金属が使用できない特殊な環境で活躍します。ただしすべての特殊環境でプラスチックベアリングが使用できるわけではありません。例えば水がかかるのなどの特殊環境かつ、負荷が大きい箇所や回転が高速である場合はプラスチックベアリングが使用できないため、そのようなときはセラミックベアリングを紹介することもあります。
そこで今回はセラミックベアリングとプラスチックベアリングの違いや、メリット・デメリットについてご紹介したいと思います。なお軸受として使用されるセラミックはジルコニア、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素が一般的ですので、このメールマガジンではそれらのセラミックについてお話します。
初めに各ベアリングの特徴について紹介いたします。
プラスチックベアリング
(軌道輪:プラスチック 保持器:プラスチック ボール:プラスチック以外の材質)
・グリスがいらない ・錆びない ・耐薬品性に優れており腐食しない ・非磁性 ・絶縁 |
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深溝ベアリング
セラミックベアリング
(軌道輪:セラミック 保持器:プラスチック ボール:セラミック)
・グリスがいらない ※材質によって耐薬品性能が違う場合があります。 |
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セラミックベアリング
金属ベアリング
ちなみに金属ベアリングには以下のような特徴があります。
・セラミックよりも高負荷、高回転数に耐えられる |
私が営業の際にお客様に対して金属製のベアリングが使用できるのであれば、そちらを使用するに越したことはありませんと説明させていただきます。上に書いたように金属製のベアリングは高負荷、高回転数に耐えられ、安価で手に入れることができますが、環境によっては錆による回転不良が発生したり、使用の際に必ずグリスが必要になります。
重複しますが今回紹介させていただくプラスチック、セラミックベアリングは金属製のベアリングが使用できない場合に活躍します。
セラミックベアリングのメリット
プラスチックベアリング、セラミックベアリングはともにグリスや油なしで使用できる、錆びない、腐食しない、非磁性、絶縁体である特徴があります。
それに加えてセラミックベアリングはプラスチックベアリングよりも高負荷、高回転数に耐えられます。セラミックは非常に強度が高く、高温に耐えられる材質であるためプラスチックよりも高負荷、高回転数で使用することができます。ただし高温環境での使用の場合、セラミックベアリングの保持器はプラスチックになるため、使用可能な温度はプラスチックの耐熱温度に依存します。
よく保持器含めてすべてセラミックのベアリングは製作できるかと尋ねられますが、できませんと返答させていただいております。理由としては保持器には弾性が必要だからです。
弾性とは力を加えると変形し、力を除くと元の形状に戻る性質のことを言います。また変形のしにくさを表した値を弾性率と言います。外力とそれにより発生したひずみで求められ、弾性率が高いほど変形しにくい材質であると言えます。
話を保持器に戻しまして、保持器はベアリング内のボールを接触させないために必要になります。保持器のボールが収まる各ポケットの入り口はボールの径よりも小さくなっており、保持器の弾性を利用することでベアリングに組み込むことができます。もしセラミックで保持器を製作し組み込むと、セラミックは非常に弾性率が高いため大きく変形せず、ボールや保持器が破損してしまいます。したがって保持器をセラミックにすることはできず、弾性のあるプラスチックで製作しなければなりません。
セラミックの耐熱温度が必要な環境では保持器を無くした総ボール形状のベアリングを推奨します。ただし回転時にボール同士が接触してしまい超低速回転でしか使用できないため注意が必要です。
セラミックベアリングのデメリット
セラミックには非常に多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。
一つ目に脆いことです。
セラミックは非常に硬いですが、粘り強さが無いので脆い材質でもあります。普段の生活でもセラミック製の食器を落として割ってしまった経験はないでしょうか。それを想像していただくとわかりやすいかと思います。セラミックは軸受として使用する際にも、大きな振動や衝撃が発生するところでは割れてしまう危険性があり使用することができません。
二つ目に加工をするのに非常に手間がかかることです。
材料の成型から始まり、生加工、焼成、研磨加工があるため非常に時間がかかります。手間がかかるがゆえに製品も非常に高価になります。セラミックは非常に高スペックですがプラスチックや金属製のベアリングと比較すると価格が高いので我々もセラミックしか使用できないような環境でのみ紹介しています。
セラミックベアリングは衝撃や振動に弱く、少し価格が高いですが、高い耐薬品性、強度、耐熱性を兼ね備えた非常に魅力的な材質です。装置や使用される環境によってはセラミックしか使用できない場合もあるので、特殊環境でお困りのお客様はぜひご相談ください。
プラスチックやセラミックなど最適な材質をご紹介させていただきます。
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鹿島化学金属では使用環境に応じたプラスチック製品をご提案致します。
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