われわれ鹿島化学金属はプラスチック製のベアリングを作っているのですが、日々悩まされていることがあります。それは“寸法変化”です。
そこで今回のテーマは“プラスチックの寸法変化と加工方法”について。
まずは営業部の菅から、寸法変化の正体について説明したいと思います。
プラスチックを扱うお仕事をされている方はご存知だと思いますが、プラスチックというのはとても寸法が変わりやすいんです。 変化量は材質によって異なりますが、ビックリするくらい変化の激しい材質もあります。どのくらい変わるか説明するのは非常に難しいので、それはまたのちほど実際の数字を使って説明したいと思います。
まずは、なぜ寸法が変化してしまうのでしょう?
理由は大きく2つあります。
熱による膨張
身の回りのあらゆるモノは温度の変化によって伸び縮みするという性質があります。
例えば鮭フレークが入ったガラス容器。フタを開けようとして、ビクともしなかったなんて経験ないでしょうか? あるいはガラスのコップに熱湯を注いだらコップが割れた、、、なんてことも。 今年の夏は特に猛暑だったため、暑さで線路が延びてしまって電車が脱線、、、なんてニュースもありましたね。
これらは全て熱による膨張が原因なんです。 逆に熱膨張を利用したような商品もあります。 それは水銀を利用した体温計です。 今は電子体温計が増えてしまったので若いヒトは分からないかも知れませんが、昔は“水銀体温計”というのが主流でした。あれは水銀の熱膨張を利用して温度を計測する仕組みです。
吸水による膨張
プラスチックの伸び縮みの原因は熱だけではありません。 もうひとつ忘れてはならないのが、吸水です。
一般的な感覚として金属は水を吸いませんが、残念なことにプラスチックは水を吸ってしまいます。材質にもよりますが、吸いやすい材質は結構吸っちゃいます。 むしろ吸水効果を利用して色々な商品が開発されているくらいです。 実生活で言えば、赤ちゃんのオムツなんかがそうですね。もしくは最近暑さ対策で首に巻くひんやりスカーフ。あれらは吸水性ポリマーというプラスチック素材が使われています。
以上2つがプラスチックの寸法変化の正体です。正体が明らかになればもう怖くはありませんね(笑)
では次に製造担当の松本から日々のエピソードをお話しさせていただきます。
製造部の松本です。
加工する者にとって樹脂の寸法変化は、一番の悩みの種です。中でもボールベアリングの外内径の寸法を出すのに、日々苦労しています。 ボールベアリングの外輪、内輪寸法は、いきなり初めから完成させません。 加工する日の数日前に、あらかじめ数個程度テスト製作で寸法変化をチェックしておき、いざ本番を迎えた際にその変化を参考にして加工するなどの工夫をしています。
季節によっても寸法変化の仕方は違ってきます。 簡単に言うと、夏は大きくなりやすく冬は小さくなりやすいです。 冬は加工後の商品を室温に一日放置しているだけで、寸法が小さくなるので25℃くらいに管理されたBOX(恒温BOXといいます)の中で保管しています。
ちなみにですが、、、
春や秋のように暑いのか寒いのかわからない季節が、一番加工にとっては寸法精度を出すのに苦労しています。
製造の加工については以上で終わります。
さて再び営業部の菅に戻りまして実際にどのくらい寸法変化するのかを見ていきたいと思います。
今回は分かりやすい例として、我々の扱う樹脂の中でも特に変化の大きい、とあるプラスチックを例に見てみましょう。
このプラスチックで出来た棒を、室温5℃の部屋の中で計ったらピッタリ1000mm(=1メートル)だったとします。 次に、35℃に設定した部屋に暫く置いてもう一度計ってみます。
さてどのくらい伸びていると思いますか?
なんと2.7mm!!
これだけでも驚きですが、実はこのプラスチック、非常に水を吸いやすいプラスチックでもあり、その吸水率は0.8パーセントにもなります。 これは、先ほどと同じ長さの棒をお水に浸けたまま1日置いておいたら、8mmも伸びてしまうということなんです。
余談ですが、もうこれ以上吸わなくなるという極限状態まで吸水させた場合は、その吸水率は6パーセントに達し、長さにして60mmも伸びてしまう計算になるんです。 ただしこれらはあくまでも机上の計算値であり、実際に実験した訳ではありませんので、クレームなしの方向でお願いしたいと思います(笑)
まぁ冗談はさておき、我々はそういうプラスチックを取り扱っているため管理には気を配り、日々寸法精度の良い加工を心掛けています。 今日もまたどこかで精度の良い加工を求めているヒトが待っています。 精度の良い加工は是非ともお任せください。 我々が何とか致します!!!
鹿島化学金属はプラスチックベアリングのメーカーです。
様々なプラスチック材質を取り扱っているので、たくさんの加工ノウハウを持っています。
なにかお困りのことがあったら是非一度お声掛け下さい。
お問合せはこちら
(担当:営業部 菅武史 製造部 松本正樹)
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