今回はPEについてご紹介したいと思います。
ポリエチレンとも呼ばれるPEは樹脂の中でも安価な材質で様々なところで使われています。例えばポリタンク。名前に“ポリ”が入っていますが、これはポリエチレンから取っているようです。それから釣り糸のPEラインも名前の通りPEで作られています。このように容器や糸を始めとした様々な製品にPEが使われています。
次にPEの特徴を紹介していきたいと思います。
PE(ポリエチレン)全体のメリット・デメリット
PE(ポリエチレン)全体のメリット
- 安価
- 耐薬品性に優れている
- 吸水性が極めて低い
- 非粘着性に優れている
- 軽い
などが挙げられます。比較的に安価で耐薬品性が優れ吸水性が低いため、様々なプラスチック製品に使われています。
PE(ポリエチレン)全体のデメリット
- 耐熱温度が低い(軸受として使用する場合の推奨最高温度60℃程度)
- 熱線膨張係数が高く、寸法が変化しやすい
PE(ポリエチレン)の種類
先程PE“全体”の特徴を上げましたが、密度が変わることでPEは大きく2種類に分類されます。
- LDPE(低密度ポリエチレン)(密度:0.91~0.92)
- HDPE(高密度ポリエチレン)(密度:0.92~0.96)
またこの2種類よりも分子量が非常に多いPE(通常の分子量が20~30万に対して100~700万まで高めている)をUHMWPE(超高分子量ポリエチレン)と呼びます。
密度や分子量が変わることでこのように分類され、それぞれ異なった特徴を持っています。
PE(ポリエチレン)の種類と特徴
LDPE: | 他のPEよりも柔らかいため軟質PEとも呼ばれる。フィルムに用いられることが多い。 |
HDPE: | 他のPEよりも硬いことから硬質PEとも呼ばれる。引っ張り強さ、衝撃強さに優れ、押出成型品によく使用される。 |
UHMWPE: | 耐衝撃性、耐摩耗性に優れており、産業機械をはじめとしたさまざまな分野で使用される。融点以上でも流動性が悪いため射出成型には向かない。 エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の一つである。 |
〈使用例〉
LDPE: | 食品包装用フィルム、梱包材(エアキャップ)、ポリ袋など |
HDPE: | ポリタンク、ビールケース、ポリバケツなど |
UHMWPE: | 釣り糸、工業用品、義肢など |
当社のベアリングにはUHMWPEを使用しております。
比較的安価で耐薬品性が高いことから様々な薬品環境、水がかかる環境で多く使用していただいております。また食品衛生法に適合しているので食品関連の装置でも問題なく使用していただけます。
UHMWPE製ベアリング導入事例
実際に使用していただいている例をウェブサイトの導入事例に載せております。
次亜塩素酸ナトリウム洗浄用のピローユニット | リン酸に強い樹脂ベアリング | 帯電防止用のベアリング |
通常のUHMWPEは乳白色ですが黒色の導電性を持たせたグレードもございます。基本的に樹脂は絶縁性が良いため静電気が発生しやすいです。その静電気が帯電することにより装置で使用している薬品や製品に悪影響があってはいけない場合に導電グレードのUHMWPEを使用していただいております。
このようにUHMWPEは非常に優れた材質です。
加工直後は公差内に収まっていても、しばらく置いてから再度計測すると寸法が変わってしまうことがあります。また季節によっても夏場は膨らみ、冬場は縮む傾向にあります。そのため加工の際は季節による寸法変化を意識しつつ、加工方法を工夫してなるべく寸法変化の影響を受けないようにしております。
まとめ
今回はPEを紹介しましたが、このほかにも様々な材質があります。それぞれ異なった特徴を持っているので、材質を選定するのは非常に難しいかと思います。もし樹脂のベアリングや加工品を検討していただいた際はお声掛けいただけますと、材質選定のお手伝いやご提案もさせていただきますので、遠慮なくご連絡ください。
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